[相談]
私は大学生です。
現在(令和6年)、学業の傍らでアルバイトをしていますが、最近の人手不足の影響によりシフトに入る回数が多く、このペースが続くと年末までに給与年収が103万円を超えてしまう可能性が出てきました。
そこでお聞きしたいのですが、私が「勤労学生控除」の適用を受けた場合、今年分の給与年収が103万円を超えたとしても、所得税法上の扶養親族となれるのでしょうか。
また、上記の場合、令和6年分の所得税の定額減税について、私は扶養親族分の加算(3万円)の対象となるのでしょうか。教えてください。
なお、私には給与所得以外の所得はないことを申し添えます。
[回答]
ご相談の場合、ご相談者の給与年収が103万円を超えていると、ご相談者が勤労学生控除の適用を受けるかどうかに関係なく、ご相談者はご親族の所得税法上の扶養親族にはなりません。また、所得税の定額減税額の加算の対象からも外れることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
所得税法上の「扶養親族」とは、居住者の親族等でその居住者と生計を一にする人のうち、「合計所得金額」が48万円以下(※1)であること等、一定の要件を満たす人をいいます。
なお、上記の扶養親族のうち、その年12月31日時点(原則)で満16歳以上の人が、所得税法上の「控除対象」扶養親族となります。
※1 その人の所得が給与所得のみである場合、給与年収103万円以下であるときに合計所得金額が48万円以下となります。
所得税法上の勤労学生控除とは、居住者が勤労学生(※2)である場合に、その人のその年分の所得から27万円を控除するという制度です。
大学生がこの勤労学生控除の適用を受けるためには、勤務先に提出する扶養控除等申告書にその旨を記載すればよいこととされています。
※2 勤労学生とは、@学校教育法上の学校(高校、大学、高等専門学校など)の学生、生徒等であって、A勤労に基づいて得た給与所得等があり、Bその「合計所得金額」が75万円以下であって、かつ、給与所得等以外の所得金額が10万円以下である人をいいます。
上記1.で述べたとおり、所得税法上の扶養親族となるためには、その人の「合計所得金額」が48万円以下であること等が必要ですが、この「合計所得金額」の計算には、上記2.の勤労学生控除(27万円)は影響を及ぼしません。
このため、今回のご相談の場合、ご相談者が勤労学生控除の適用を受けるかどうかに関係なく、ご相談者の給与年収が103万円を超えていると、ご相談者はご親族の所得税法上の扶養親族にはならないこととなります(あわせて、控除対象扶養親族にもならないこととなります)。
なお、勤労学生控除の適用を受ける場合には、ご相談者ご本人の所得については、上記2.で述べたとおり、27万円の所得控除を受けられます。
居住者の令和6年分の所得税については、その人のその年分の所得税の額から、「令和6年分特別税額控除額」を控除することと定められています(定額減税(※3))。
上記の「令和6年分特別税額控除額」は、(居住者である)本人について3万円、さらに、(居住者である)同一生計配偶者又は(居住者である)扶養親族を有する人については、その3万円に、同一生計配偶者又は「扶養親族」1人につき3万円を加算した金額とすると定められています。
上記の「扶養親族」の意義は、上記1.の扶養親族と同じです。
このため、今回のご相談の場合、ご相談者が勤労学生控除の適用を受けるかどうかに関係なく、ご相談者の給与年収が103万円を超えていると、ご相談者は所得税法上の扶養親族に該当しないことから、(ご親族の)定額減税額の加算の対象から外れてしまうこととなります(なお、ご相談者の給与年収が103万円を超えている場合には、ご相談ご本人について3万円の所得税の定額減税を受けられることとなります)。
※3 ただし、その人のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額が1,805万円を超える場合には、定額減税を受けられません。
[参考]
所法2、82、84、85、措法41の3の3など
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